読書感想文コンクールの学校内代表選考の前に地区で開かれる「図書主任会」というのがあります。
その中で「先生方はネットからの盗作のものを選ばぬようにしてください。」という注意事項などが共有されます。
読書感想文のコンクールや論文作成とchatGPT、今後も様々な議論がなされそうですね。
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読書感想文とチャットGPT
読書感想文の宿題は大変・・・
筆者は、元中学校の国語教師。
「読書感想文」の宿題を出していた側です。
作文が苦手だったり、読書が好きではない子どもにとって、読書感想文は最悪で最低な宿題です。
(実は、出した側にとっても最悪な宿題です。読む分量が大量で時間がいくらあっても読み終わらない上に、審査しなくてはならないっ!!)
いかに、楽にこの「苦行=読書感想文」を乗り越えるか・・・
ここに知恵を絞る子ども達も出てきます。
「先輩から昔書いた読書感想文の原稿用紙もらった~。」
というのは、もう昔の話で、
「インターネットに『星の王子さま』の読書感想文が載っていた♪」
なんていうのが数年前の話。
「chatGPT」が現われた今では、もっとたやすくこの試練を乗り越える人も出てくるのでしょう・・・。
なんで、こんな面倒な宿題を出すのか。
読書感想文コンクールの開催趣旨は以下の通り。
◇子どもや若者が本に親しむ機会をつくり、読書の楽しさ、すばらしさを体験させ、読書の習慣化を図る。
◇より深く読書し、読書の感動を文章に表現することをとおして、豊かな人間性や考える力を育む。更に、自分の考えを正しい日本語で表現する力を養う。
「自分の考えを正しい日本語で表現する力」をつけるための訓練は、小中学生のうちにどんどんやっておいて欲しいと思います。
将来の日本を担う子ども達に、
国語で習う「構成」を考えて枠組みを作り、
少し長めの文章で自分の気持ちや考えを表現することが出来るようになって欲しい!!
上手な文章を書くためには、良い文章を読んでまずはまねしてみることも大切です。
作品発表の場ではなく、どこかでそのような訓練もするべきだと思います。
盗作を見抜くのはどうするか・見抜いてどうするか
◇盗作や不適切な引用等があった場合、審査対象外になることがあります。
盗作を見抜くのは「勘」?
「ネットからの盗作のものを選ばぬようご注意ください。」と言われても・・・。
私は、国語科の先生同士の「うわさ」や「勘」に頼っていました。
先生同士の噂というのは、「例年○○の本は同じ内容の感想文がでてくる。」だとか「○○はネットに載っているらしい。」とか。
確かに、同じタイトルで数名似たような内容の読書感想文が出てきたことはありますが、「疑惑」で終わりです。
もしかしたら、たまたま似てしまったのかもしれないという思いも捨て去ることはできず、問い詰めたりするのも・・・。
「勘」というのは、どのように働くかというと、
いつも書いている文章とかけ離れていて急に大人びた熟語を連発したりしていると「ん?今回どうした?」となったりします。
作文には個性がでますから、なんとなく勘が働きます。
(ちなみに、ワークなども丸写しなどしている場合も「勘」が働きます。)
そこまでしなくてはならない事情があったのかと察したりもします(笑)。
盗作を見抜いたらどうするか?
丸写しというわけでなければ、グレーゾーン。
(といっても長い教員人生、私が「ん?」と思ったのは3本くらい・・・。全部で読んだ数は・・・ざっと3600本くらい?もっとかしら。)
どんなに内容が素晴らしくても、似た文章が既に世の中に出ていたらコンクールに出しても意味がありません。
代表選考からは外します。
国語科では今後「事前指導」をしっかりして「引用の使い方」より徹底させる必要があると感じました。
作文は、国語の得意苦手とは関係なく、「人生経験や普段どのように考えて生きているか」によるところも大きいです。
成績のよい子が必ずしも面白い読んでいてワクワクするような作文を書いていたわけではありません。
常識的な子が書いた文章は、模範解答のような、誰が書いても同じような文章になってしまう場合もありました。(文章構成や文法は完璧!)
逆に、個性的で具体的な体験や想いがつまった作文を書く子は、国語が苦手な子だったりもします。
\2023年:中学生の課題図書/
各学年の課題図書は、
から調べることができます。是非チャレンジしてください!
(といっても、ハードルが高いのか我が子はやりたがらない・・・。そんなもんです。)
論文作成では「引用の用い方」を徹底的に指導する
読書感想文は小・中学生の試練だとしたら、大学卒業の試練は「卒論」。
「自分自身の論」を打ち立てること。
人のまねはしないということ。
卒論の時は、よく調べないと自分のオリジナルの考えだと思ったことが、既に前の研究者によって発表されている場合があります。
たまたま同じでも、発表が遅い方が真似になってしまいます。
私の大学の先生は、「孫引き=他の書籍に引用されたものを、原典にさかのぼって調べることなく、そのまま引用すること。(広辞苑 第7版より)」について厳しく指導されました。
原典にさかのぼって調べるのは大変な作業で、原典を読むために国会図書館にも出向きました。
今でも、その考えを大切にして文章を考えています。
他の研究者の研究を引用した方がいいこともたくさんあります。
引用元はしっかり明記する!
学習者や文章を作成する人には、これをしっかり身に付けないと災いが我が身にふりかかる・・・。
ChatGPTで温故知新
「温故知新」『論語』にでてくる孔子の言葉から出来た四字熟語。
「昔のことを研究して新しい知識や道理を知ること:旺文社国語辞典 改訂版」
今まで、世の中にはもう覚えきれないほども情報が蓄積されています。
それを全て1から学んで調べるなんて無理があります。
総論をChatGPTで下調べしたり、興味のきっかけをつかんだりするのには大いに使って行きたいと思います。
ChatGPTで世の中が変わっていくのは悪いことではない
読書感想文とChatGPTのルールというタイトルでブログを書きました。
世の中の考えもどんどん変わっていき、私自身の考えも変わっていくのだろうと思いますが、小中学生は、様々な「基本」を抑える時期だ!というのが今の主張です。
大人は・・・、それぞれの考え方でいいのでしょう。
「引用問題」だけしっかりクリアしていれば。
この先、色々なタイプの文筆家も登場していくのだろうと思います。
私は、いつまでAIに頼らず、自分の頭で文章を考え続けるのでしょうか?
こんなに効率の悪い文章の書き方は、時代遅れと言われてしまう時がくるのかもしれません。
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