教員の給与の引き上げがニュースとなっています。
先生が減って大変なのは、学校関係者だけでなく、公教育を受ける側にとってもマイナスです。
今回の「教員定額働かせ放題」報道を受け、教員の働き方改革の目指す方向性についての私論をこちらに掲載します。
教員の働き方改革の目指す方向性〈子育てママ教師だった私のたわごと〉
「日本の公教育のゆくえ」は、元教師で子育てママの私にとって、生涯の研究のテーマにしたいくらい気になるテーマです。
先生も教わる側も幸せになれるシステムはなんだろうと常々考えています。
\教師を辞める決断をしたことを書いた記事/www.yumimamanchan.com
教員給与の引き上げは良いと思う
今回の中教審の提言では、「教員給与の引き上げ」が注目されています。
教員には残業代がないことも問題視されていましたが、その部分は現状維持。
特給法(※公立学校の教員の給与は、50年以上前にできた「給特法」という法律で、当時の月の残業時間およそ8時間分にあたる月給の4%を上乗せする代わりに残業代を支払わない仕組みになっている)の部分が、4%から10%へと引き上げられます。
以前ブログで書きましたが、子育て中の教員は「保育園のお迎え時間」や「子どもの夕飯作り→ねかしつけのことを考えるとタイムリミット有り」を考えて動きます。
かといって、担任&部活を持ち、ほぼフルコマ(6時間中5時間埋まった時間割)状態だと、勤務時間中に仕事を終えるなど不可能です。
そこで、持ち帰り仕事が発生します。
こどもを寝かしつけてから起きて作業開始!というスケジュール。
夜こどもと寝落ちしてしまい、朝4時くらいに慌てて起きてパソコンを立ち上げて仕事をしたことも何度もあります。
もし、残業代がつくようになっても、家に帰っているので、残業カウントにはなりませんよね・・・。
私は、中学校勤務でしたが、小学校の先生は毎日フルコマかと思います。。。
よって、特給法による金額アップはよい方向性だと思いました。
むしろ、半世紀ぶりの給料引き上げという文言に驚きました。
半世紀の間に、教師の仕事はどんどん増えていたのに、その分は金額に跳ねておらずボランティアだったということになりますよね。
その前に、「持ち帰り仕事」を前提に話を進めている方がおかしいような・・・。
「勤務間インターバル」は理想に終わらないか?
もう一つのキーワード「業務間インターバル」という聞き慣れない用語も気になりました。
勤務の終業から次の始業までのインターバルを守るため、自宅への業務の持ち帰りを避けることも求めています。引用NHKニュース↓
以前勤務した学校で、「残業時間を減らす取り組み」がなされ、中間試験の早帰りの日に「早帰りデー」が設定されたことがありました。
私は、この日約35名×7=245名の国語のテストの採点が控えていました。
先の予定なども考えると、この日のうちに採点を一気に進めなければ「家族との週末」は採点業務でつぶれます。
「早帰りデー」なのにも関わらず、自分の判断で仕事を続けました。
(この行為は、学校長からの「残業を減らす」だの「業務間インターバル」の指示に従わないということになってしまうのでしょうか。)
「残業を減らす」→「持ち帰り仕事」という流れになってしまうのは、業務の量や仕事の期限が業務時間にあっていないからだと思っています。
仕事量は変わらないのに、「早く帰るように!!」「持ち帰りも禁止!!」というのでは、教師は病みます。
※教員によって、持ちコマは違います。チームティーチング(TTティーティー)や、加配があると楽になります。私も、育休明けすぐには、国語科でありながらTT加配をして頂き、いざと言うときには代わりがいるという安心感に救われた時期がありました。
必要な対策は、業務の削減や持ちコマ数の徹底管理だと思っています。
↑求めているのは、少しでも時短になるような仕組み作りです!
勤務校で導入されたデジタル採点ですが、どうやら定着したそうです。
教員の働き方改革に必要なのは、学校にかける「予算」なのかもしれないです。
適正な持ちコマ数をキープするために、講師配置を!
持ちコマ数は、配属された学校のクラス数によってばらつきがでます。
持ちコマ数に上限を決めて、講師配置ができたらいいのになあと思いました。
(講師を見つけるのも大変だと聞いていますが・・・。)
1年目の教員のある日の時間割は・・・
A校
朝の会→①空き ②2年国語 ③1年国語 ③2年道徳 ④2年道徳→給食指導→⑤2年国語 ⑥2年国語→掃除→帰りの会→部活
B校
朝の会→①空き ②1年国語 ②2年国語 ④あき →給食指導 ⑤⑥研修 →掃除→帰りの会→部活
という感じです。
A校の先生のこの曜日は、学年もまたがり途中に道徳も入りかなりハードだなあと感じました。
持ちコマ数だけでなく、「必要な授業準備の量」についても目を向けるべきです。
もっと言うと、分掌の量、主任の役割、行事の準備、部活などなどキリがないですが。
公教育に「民間の力」を入れて先生の仕事を減らす
とはいえ、授業は「プロの教師」が責任を持ってやるのが理想です。
先生も、そうでありたいと願っていると思います。
私が、学校が民間の力を借りても良いと思っている業務は、
①会計業務
②行事などのタイムテーブルや資料作り
③清掃業務
④昼休みなどの見守り業務
⑤部活などの課外活動
⑥単元テストや小テストの作成と採点
⑦道徳の授業
⑧キャリア教育
⑨印刷
⑩配布物の仕分け作業
⑪賞状作りや看板作り
もっとあるかもしれません。
交通安全教室は、地域の警察の方が講演をしてくださいました。
このようなイベントの日は、全て外部講師の方にお任せして、テスト作りの日や行事準備の日にあてるなどできたら先生にも余裕ができます。(テスト作りや印刷にもかなりの時間を必要としますし、行事の打ち合わせはたいてい業務時間後にスタートします。)
また、どうしても休みたい日があらかじめ分かっている場合に、道徳や進路などのプロの先生を招いて授業してもらうという制度があれば、計画的に休みがとりやすくなります。
現状は、お休みしたい日に限って、出張の先生が何人も被っていて、お休みしたら学年が回らない状況になる・・・よくあることです。
自分も授業参観などでお休みしたかった日に、補講でフルコマという悲劇・・・。
全ては「予算」がつかないことが原因かもしれませんが、「定額働かせ放題」など言われないような仕事環境になりますように。