先日、中学校で朝読書前の時間に、廊下で友人を刺すという痛ましい事件が起きました。中学校の朝ってどんな様子なのか?疑問に思う方もいると思うので、私の勤務していた学校の朝の様子を記事にしました。
公立中学校の朝は8:00前からめまぐるしく動いているのです!!
・中学校の先生になりたい!実際の仕事はどうなの?
・子どもが公立中学校に通っているまたは通う予定。朝の様子を知りたい。
・教育問題に関心がある。
・朝練の実態を広めたい。#教師のバトン
✬この記事を書いているのは・・・
2021年3月まで16年間公立中学校国語科教諭として勤務していた「ゆみママ yummamanchan」と申します。
”もっと子どもとの時間が欲しかった・・・”と後悔し退職。理想だった「『いってらっしゃい』と『おかえりなさい』が言える母」になることができました。↓↓↓
中学校教師のリアルな仕事内容【朝編】
朝練有りの場合(ある先生の朝の様子)
私の勤務していた学校は、1年生の保護者から「子どもが毎朝6時前に家を出るので大変です。」という声が上がりました。「朝練のスタートが早すぎる」という問題意識から朝練スタート時間の制約を設けました。
ただ、保護者の部活に対する考え方は様々で、朝練の時間が足りてないと感じている人もいます。既存のものを変えていくことは難しいです。
始業時間前のお仕事
7:30 朝練の準備(鍵を開けたり)
7:40 「おはようございます!」←生徒登校
7:50 部活動朝練スタート
※ケガの心配があるので、部活につく
※保護者からの電話対応の時は離れる
※仕事が間に合わない時も離れる
✬始業前に教員がすべきことをやる
8:05 片付けスタート
8:10 朝練終了
※体育科以外は着替え。
※自分のクラスを様子を見に行くことも。
※上記とトイレなど含めて5分間!
☟ここから「始業:勤務時間スタート」
8:15 朝の職集@職員室
細かい動きは下の「朝練のない場合」のところを参照
「朝練の実態を広めたい」
#教師のバトン で取り上げていただければと思います。
息をつく間もなく朝が過ぎていきます。
通勤時間が1時間くらいだとしたら、朝5時半くらいに起床してから1時間目スタートまでに疲労困憊していてもおかしくないくらいな慌ただしさで動いています。
私も、5年間バスケットボール部を持っていた時は、このような生活をせざるを得ませんでした。バスケが趣味だったら苦しくないかもしれませんが、教師は基本、自分の部活を選べないのです。。。
朝練なしの場合
始業は8:15ですが、朝練のない先生達も30分前くらい前には出勤している人が多いです。
朝始業前にやることが結構あるのです。
7:50 学校到着(子育て中の教師の朝)
実は、教師のほとんどが一番やりたい朝の仕事は「授業準備」です!
入念に準備をしてクラスの実態にあった「授業」ができることが教師の幸せです。
でも、これを「朝」の時間でやることは不可能なので、多くの人が空き時間や家でささっと済ませています・・・。
✬始業時間前に教員がすべきこと(例)
・出勤のハンコを押す(まだ印鑑社会)
併せてタイムカードを押す
・自分の健康観察カードを出す
・パソコンを立ち上げる
・「日報」を読み一日の流れを確認する
・生徒連絡用の「1日の流れ」を書いておく
・朝の集配物の確認をする
・欠席連絡の電話を受ける
→内容によってはすぐに学年会議
・昨日やりのこした印刷物などを整える
・自分の学年の階に上がり様子を見る
・職員室に来た生徒への対応
・生徒指導関連の確認
(誰がどの時間話を聞くか)
・教育相談会議などの報告資料入力
・他学年の先生との情報交換
・教科担任の先生との情報交換
・授業の進捗の確認
・授業準備←やる時間がないから家でやっておく!!
☟ここから「始業:勤務時間スタート」
8:15 朝の職集@職員室
✬「おはようございます!」
全体での伝達がスタート所要時間2~3分
・校長→こんな1日に
・教頭→伝達事項(来客や提出物など)
・教務→細かい伝達(日程の変更など)
・生徒指導→注意すべき点の確認
・その他の連絡
※学校が落ち着いていないときは、会議に全員が参加せず、学年から2名くらい生徒の階へ行き見回りをすることも
✬「各学年でお願いします」
学年毎の伝達へ所要時間2~3分
・学年主任→共通認識
・各委員会担当→生徒招集などの確認
・各担任から伝えることがあれば
8:20 生徒5分前の着席・担任教卓
・毎日の提出物の確認
(健康観察カード・家庭学習・連絡帳)
・保護者会出欠や尿検査などの声かけ
☟キンコンカンコ~ン「朝読書スタート」
8:25 先生も一緒に「朝読書」←朝読書の基本💡
・この時間に身の回りを整えて着席できていないと「遅刻」
・図書委員が前に出てこの時間を落ち着いたものとしている。
※遅刻の定義は学校によって様々。
※この10分間で提出物の確認をしてしまいたいと葛藤しつつの読書。
※朝読書の時間を使って、別室で委員会をやったり、生徒と個別相談を行ったりもする。
☟キンコンカンコ~ン「朝の会スタート」
8:35 朝の会スタート:日直
☆朝の会☆
1.挨拶
「起立・礼・『おはようございます』・着席」
2.健康観察
※先生が顔を見ながら名前を呼びます!
・中学は教科担任制のため、1時間目以降会わないこともあるからここが大切。
・保健委員が健康観察カードに記入して保健室へ提出。
※家庭連絡なしで欠席の場合は、すぐに廊下にいる副担の先生に報告。→学校に行きたくなくて、近所の公園にいた場合もある。「家を出たのにっ!」という時には、捜索活動が始まる。(年に1回ほど勃発。見つかるとホッとします。)
3.日直の1分間スピーチ
4.係委員会からの連絡
5.先生から(諸連絡など)
※明るく爽やかな朝を意識する!
6.挨拶「起立・礼・『ありがとうございました』・着席」
☟キンコンカンコ~ン「朝の会終了」
8:40 1時間授業開始前の10分休み
※委員会の生徒は提出物を職員室や保健室に運んだりする
※体育の授業があるときは制服から体育着に着替える
※先生はクラスの生徒と話したり、授業準備を職員室に取りに行ったり、トイレにいったり、水筒のお茶を一口飲んだり・・・とにかく10分以内!!
☟キンコンカンコ~ン「1時間目スタート」
8:50 1時間目授業スタート
「起立・礼・『お願いします』・着席」
※ただ授業をスタートするだけでなく、1時間目は「ロッカー美化の声かけ」「服装の確認」など、教師に期待されていたことは沢山ありました(..;)
※プリントを配布したり、集めたノートを返却するときは、授業スタート前の10分間の動きが重要になってきます!
朝の挨拶・通学路見回りがある日
7:45 出勤 ✬始業時間前に教員がすべきことを済ませる。
7:55 所定の位置へ
※生徒指導担当が場所を割り振ってある
※朝の挨拶運動は学校周辺で、通学路の見回りはかなり遠くまで出向きました。
8:15 学校に戻る→簡単な学年の打ち合わせ
8:20 教室へ ここからいつも通り
時々「調整」が就く場合があり、8:00から勤務時間となりました。
朝会がある日(生徒会担当の場合)
7:30 朝会の準備で体育館を空けたり昇降口を空けたりする。
※放送のための準備をする。通常は体育館の放送設備の準備ですが、ここ2年間はコロナのため、リモートで朝会を行ったので放送室での準備。
7:40 「おはようございます!」←生徒登校
7:45 生徒会生徒のリハーサルスタート
8:10 各クラスのリモート環境の確認
8:15 体育館で行う場合は移動スタート
8:25 全校朝会スタート
8:35 朝会終了→教室への移動
8:50 1時間目スタート(特別日課で遅らせる場合もある)
朝の読み聞かせボランティアがある日
ほぼ日常通り進みますが、朝8:00頃から会議室でボランティアの方と最終の打ち合わせを行いました。(私の学校は、月3回程度)
体育祭・合唱祭など行事前の朝!
8:00頃からのクラス朝練がスタートします。(1~2週間程続きました。)
「大縄」や「台風の目」など場所取りから気合いを入れるので、体育祭が終わった途端ぐったりしてしまいました・・・。
でも、朝歌声の響く校舎は好きでした♪
やってあげたいし、やりたいけれど・・・
家のこともあるので、倒れます。。。
また、この朝練に伴うクラスのイザコザがかなりの確率で勃発します。
こういう意見の違いを経て、成長していくんですけれど・・・。
担任は気疲れします。ヘトヘト。。。
その他の朝の仕事
教頭先生は、一番早く出勤していたようです。
校舎周りを掃除している姿をよく見かけました。(朝、7時頃から出勤している・・・。私には管理職は無理だと感じました・・・。頭が下がります。)
前の日に急いで退勤し、授業で使うものの印刷が終わっていないっ!ということが良くありました。朝の印刷室は結構混み合っています。
ちなみに、印刷室が一番混むのが「テスト前」!
公立中学校のテストは先生による「手作り」です。
テストといえば・・・、中間期末テストの朝、保護者の方と連絡を取り、急遽家庭訪問をしたこともありました。
朝ご飯が間に合わず、車の中でおにぎりを食べて、学校のトイレで歯磨きする朝もあります。
\一般企業VS教師のやりがい/
まとめ:中学生刺殺事件に寄せて・・・
痛ましい事件が起きましたが、普段の公立中学校の朝は分刻みで動き、活動的であり、爽やかでもあります。
中学校の朝は賑やかです。
廊下で別のクラスに分かれてしまった子同士で話していたり、廊下の掲示物を見ていたり、クラスの中で座って朝読書の本を一足先に読んでいたり、教室の一角で固まってしゃべっていたり。慌てて、宿題をやっていたり。部活動を終えた子が慌てて戻ってきたり。その子にあったやり方で朝を過ごしています。
眠そうに目をこすって登校してくる生徒も、自分の机にに座ると日常モードに変わります。(ぼーっとしながらですが。)
先生の「授業開始前」の動きを読んでいただき、この「生徒の朝」の時間に先生があまり絡まないことにはお気づきになったと思います。
このように朝の時間帯も先生の姿が廊下で全く見えないわけではなく、環境に馴染んで存在しているという感じです。生徒と会ったら先生も元気に挨拶しているのが朝の風景です。
先生を目指す人、学校の先生は授業前何をしているのだろう?と思っていた方に、先生の朝の一例をお伝えできたら幸いです。
また、生徒を被害者にも加害者にもしないため、「何かあったら相談したくなるような先生」を目指していただけたら嬉しいです。
思春期は親にも色々話さなくなる年頃なので難しいのですが・・・。
意外とTwitterなどで一番本音を吐き出しているのかも・・・。
補足:「いじめアンケート」について
中学校では月に1度「いじめアンケート」を行っていました。
朝読書の時間に行い、伏せたままで担任が回収します。
書いてくれる時は担任と生徒の間で信頼関係がしっかり構築されたときではないかと思います。
いじめアンケートによって、いじめが発覚の件数をはかれるのか、「0件」というのは「書いて何も変わらない・我慢すればいい・たいした事ではない」と生徒が思っているのではないかなど、現場でアンケートを取っていた時には色々疑問を感じていました。
いやな思いや不快感を上手に表現できるよう、取り返しのつかないことが起きないよう、自分が誰かを追い詰めないよう、国語科の使命は想像力を付けたりすることもあるのかもしれません。
子ども達を被害者にも加害者にもしたくありません。
心にある闇を増幅させずに、小出しにできるよう考え続けていきたいと思っています。
相談しやすい母・近所の友達のおばさん・たまに学校に顔を出す先生になりたいです。
※ミスチルの「タガタメ」の歌詞を最後にご紹介します。
”ただ涙をながし、瞼をはらし祈るしかないのか・・・”
子どもらを被害者に~加害者にもせずに~
この街で暮らすため まず何をすべきだろう
でももしも加害者に被害者になったとき
できることといえば・・・