学校の先生の残業の多さについては多くの報道があります。
そして、教師には残業代がつかないことも周知されてきました。
これについて元教師ママとして持論を展開しておきたいと思います。
教師に残業代が出るようになっても教員ママ(子育て中の先生)は喜ばない?
日本の学校の先生の残業
つい数年前まで、学校の先生の通勤記録は「ハンコ」のみでした。
出勤時間や退勤時間の記録がないことは、民間企業から転職した私にとっては、不思議な感覚でした。
教員の鬱による休職者の問題が多くニュースで取り上げられるようになり、世の中が変わり始めました。
2010年頃から勤務していた学校でも交通計ICカードを使った出勤時間の管理がスタートしました。
22年度の教員勤務実態調査に基づく推計では、小学校で平均月41時間、中学校で月58時間の残業
管理職(校長や教頭)からの「早く帰りましょう。」というアナウンスも増えていき、職場全体の意識が変わるきっかけともなっていきました。
きっと、校長会などでも話題になり残業時間の多い学校に対する上からの指導的助言もあったのでしょう。
ただ...
残業する先生達は、残りたくて残っているのではなくて、やることが終わらず残っている場合が多いです。
※ごくたま~に生活場所として居残っている先生もいた!?
突発的に帰れなくなるのは、生徒指導だったり、季節労働では行事や定期テストだったりと。
「早く帰りましょう!」じゃなくて「このようにしたから残業が減らせます」という施策が欲しい!!
※テスト1日目の後、部活がないため「今日は是非お早めにお帰りください。」という声かけもよくありました。管理職はテストの採点の大変さを忘れたか、教科の違いで気付いていないのか・・・。帰りたくても帰れません!!
テスト直後から成績処理、通知表所見までの膨大な仕事量と通常業務との折り合いについて対策をしてくれる管理職はすばらしいと思います。
テストを作ったり採点するのにも結構時間がかかるのですよ!!
(塾などで定期テストが複写され過去問が配られたりして(著作権無視!)、使い回しをするとちゃんとやっている子が損をしてしまう場合があります。)
こだわって作るからといわれればそれまでですが・・・。
評価に関わるものだからミスは避けたいし、丸付けで時間がかからないような工夫もしたかった元国語教師です。
教員ママは残業しない?
保育園の延長料を払わないですむギリギリのタイミングまで仕事をしていた私。
タイムリミットが来ると、急いで帰宅しました。
ただ、どうしても学校で仕事をしなくてはならない時(会議や緊急事態の時など)は、実家や旦那さんと交渉をして、学校に残ります。
教員ママだけでなく、保育園のお迎えがある先生は基本的には残業は不可能だと思いました。
教員ママはいつ仕事をしていたか
子どもが小さい時には、運動部から外してもらったり、1年間だけですがティームティーチング(TT)という1つの授業を2人の先生で教えるという体制を作ってもらい、仕事量を減らしてもらうことができました。
それだけでも、とっても助かりました!!
大変感謝しています。
回りの先生方のサポートもあったからこそ続けられました。
では、教員ママ(子育て中の先生)は、ずっとそのまま仕事を減らしたまま続けられるかというと、そういう訳でもありません。
基本的に、人数に対して仕事量が多すぎる職場です。
いつまでもこの子育て特権にしがみついている訳にはいかないのです。
子育て前の若者に負担が偏っていったりしてしまうのは避けたい。
中堅にさしかかり、あるいは管理職となりながら、子育てやプライベートと折り合いをつけて必死に仕事をしている先生方が沢山います。
子育てが一段落すれば、仕事に邁進できるかといえば、今度は「介護」の問題が降りかかってくるのが現実です!!
誰もが忙しい職場なんです・・・。
ママ先生(子育て中の先生)は家で仕事をする
お迎えや夕飯準備などのタイムリミットがある先生は、学校で使える時間は限られています。
空き時間や放課後は、提出物のチェック、部活や会議なので自分の仕事に使える時間はほとんどありません。
コーヒーを飲むのも諦めて、仕事をします。
すき間時間を見つけては作業を進めます。
(テスト監督の時間はウズウズする時間でした。
生徒達の大量のテストを採点しなければならない・・・。
テストは基本的には、持ち帰ることができない・・・。
でも監督中は、ただただ生徒達を見守りつづけなくてはならない。
テスト監督って、外注できる仕事じゃないかな~。)
教師にとって一番大切でやりがいのある「授業準備」は「家」の仕事。
学級通信や学級のことを考えるのも、通勤の車の中や子どもを寝かしつけた後、あるいは朝ご飯の前、4時起きして終わらせる日々でした。
子育て中の先生が家でやった仕事に残業代はつくのか?
家で持ち帰った仕事に残業代を付けるのは難しいのではないでしょうか。
家で仕事をする場合は、丸付けしている途中に寝かしつけた子どもが起きてしまい、寝かしつけに戻ったところ寝落ちしたり、途中覚醒して仕事に戻ったりと・・・。
こんな日々でした。
時間で動くというよりも、すき間時間で働くという感じです。
※子どもが起きている時間に、子どもを放っておいて難しい顔をしてパソコンだけ眺めるのはできるだけ避けたいと思っていました。
コロナ禍により、テレワークが普及し、今や民間企業では家での仕事にも残業代がついているのでしょうか?
それとも、定時を超えて働いてもテレワークの場合は残業代がつかないのでしょうか?
基本的な考え方は、家での仕事には残業代が付かないのではと思っています。
仕事の対価に対してお給料を出せばいいと考えたが・・・
教員の仕事は、関わるこどもが増える程やることも増えると思いました。
記録の管理や、子どものケアなども含め、1クラスの人数が多ければ多いほどやることも増えます。
では、人数や、持ったコマ、部活や行事それぞれに点数をつけてやった分だけお給料を渡すっていうのはどうかしら?と考えた時もあります。
間に落ちた仕事をフォローし拾ってくれる先生のありがたさ
自分の仕事を割り切ってやるというのは、現代的な考え方だし余分な仕事を増やさないという意味では合理的なやり方だと思います。
しかし、チーム学校の中では、予期せぬことが起きることも多々あります。
そんな時に頼りになるのが「よく気付く先生」。
こういう先生が、職員室中にいます!
間に落ちた仕事をフォーローして拾ってくれたり、先を読んで問題になる前にに解決してくれたり。
全体が見られているからこその動きだと思います。
もし、役割をきっちり分けて、やった分だけお給料をという制度にしてしまったら、公立の学校に必要な「全体を見る力」が落ちてしまうと思います。
中教審の法改正をどう受けとめたか
子育て教師を経験した私にとって、
教員に残業代が支給されるようになったとしも、持ち帰りや休み時間を削って仕事をする子育てママ先生(子育て中の先生)には全くメリットはなかったと思います。
安易に「残業代を払えば良い」という方法に向かわずホッとしています。
学校に残ってとことん仕事を片付けた気持ちもあったけれど、
家の事情や自分の優先順位で残れない身分だった教師の戯言です。
(その分、家ではやっていたつもりです。)
日々の細々した仕事のアウトソーシングや教員の増員によって、職場環境がよくなるのではないかと思っています。
また、やる気のある先生が生き生き続けられるように、全体を見て落ちた仕事を拾ってくれるような影の支え役のような先生がムダ働きにならないように目を配って欲しいと思います。
①職務に応じた手当の創設
②教員の増員
③教員調整額を4%から10%へ
教員不足の解消と公教育の質の維持に向けて、社会が動いていることはとても良いことだと思います。
今日は、常々思っていたことを思い切って記事にしてみました。
・・・・
追記:残業代の代わりに支払われる「教員調整額」の引き上げには賛成です
教員の「残業代」増額幅を議論 中教審、春に方向性 - 日本経済新聞
最初にこの記事を書いた時より半年経った2024年2月、教員ママにも納得のいく方向性が出てきました!
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